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12月23日11時半。
…なんだか段々ここに来る時間、遅くなってる…な、あたし。


夏原のブランケットを握りしめ、階段を上る。
今日こそ訊く!彼女いるのか!そしてブランケット返す!夏原のペースに巻き込まれない!


階段を上った先には…


「あれ…いない…?」


誰もいない、風ばかりが走る屋上。


「夏原、いつでもいるって言ったじゃん…。」


どうしてだろ…なんだか目が熱くなってくる。
風がいつもより冷たく感じるし、耳あてもしてきたのに、痛い。


…あ、そっか、あたし…。
誰もいない屋上に来たこと、ないんだ。
いつだってここには…


「夏原がいた…んだ…。」


夏原がいない屋上を初めて見るあたしは、なんだかどこかにぽっかり穴が開いたような気持ちになる。
ねぇ、なんでいないのさ夏原。
今日晴れてたし、今だって雲、全然ないよ。月だってものすごく綺麗。肉眼でそこそこ見えるくらいには。


「夏原のバカー!
いつでもいるって言ったじゃん!せっかくこのあたしがこの超寒い中でブランケット返しに来たのにー!あと彼女いるかも教えてくれないとかマジであんたなんなのよー!
夏原のバカバカバカー!
いいからとにかく早く来なさいよ夏原ー!」


あたしがひとしきり叫び終わった後、ふと階段の方から足音が聞こえてきた。
そして…


「4回もバカと言われるようなことをした覚えはありません。」


いつも通りの口調、いつも通りの服装で夏原はやってきた。


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