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「…まだ先の話、だけどな。
卒業まであと1年あるし。学生結婚はさすがに…だしな。」

「うん…それは私も…そこまでの勇気とか…ないし。
あ、でも別に違うよ?奏人のことが嫌いだからとかそういうんじゃないからっ…!」

「分かってるよ。なにそんな必死に否定してるのさ。」


そう言って奏人は軽く微笑む。
…ひ、必死になりすぎた…かも。


「俺、卒業したらこっちに戻ってこようと思うんだ。
就職は確かにこっちの方が厳しいけど、それでもやっぱり地元にいたいんだ。
俺、長男だし。親も…まぁあんなんだけど、いつまでもただ元気ってだけじゃないと思うし。秀人(ヒデト)の方は多分地元出てそのまんまだろうし。」

「え、そうなの?秀人くん来年大学受験だよね?」

「あいつは俺よりもっと遠くの大学目指してるよ。
でそのまま向こうに住むとか言ってるし。
確かに今の雇用状況考えてもそっちの方が現実的だけど。」

「そっか…前からしっかりしてる子だとは思ってたけど、秀人くん、相変わらず現実主義者というか…高校生なのに色々考えてるんだね。」

「まぁね。考え方はカタブツだよ。」

「お兄ちゃん、手厳しい!」

「結婚したら、菜々子だって姉だぞ?秀人の。」

「えぇ!?そんなっ…恐れ多い…。」

「…なんだよその発言。俺の妻になるのは恐れ多くないのに秀人の姉になるのは恐れ多いわけ?」

「いやっ…そうじゃなくって…ていうか、奏人、私で本当に大丈夫なの?」

「…は?」


間抜けな返事と間抜けな表情が返ってきた。
…でも、これはずっと聞きたかったこと。


付き合うのと結婚って全然違うと思うから。

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