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「朝目覚めたら菜々子が腕の中にいて、そこから1日が始まる。
なーんて…すごく幸せな未来。」


奏人の顔を見上げると、いつもよりもずっと優しく微笑んでいる。
ふっと、顔が近付く。


「朝はキスで起こしてほしいな。」

「…っ…!」


そっと唇が頬に触れた。
奏人が触れたその部分だけ、異常なほど熱を帯びる。


「起こすって…自分で起きなよ!」

「俺が朝弱いの知ってるだろ?」

「知ってるけど!」


それにしたって…この甘え様…。
…そう。奏人は、甘えるようになった。新しい距離になってから。


「…奏人って実は甘えん坊だよね。」

「好きな人には甘えたいもんだって。
菜々子も甘えてよ。甘やかしてあげるから。」

「っ…!甘えるとか出来ないっ!」

「お姉ちゃん気質だもんね、菜々子。
でも、だからこそ俺の前では甘えてほしい。
外ではすごくしっかりしてて真面目で、辛いこととか大変なこととか全部自分で背負いこんじゃうでしょ?
だから、辛い時は泣けばいいし、苦しい時は苦しいって気持ちを分けてくれればいい。
甘えるって、色んな甘えがあると思うけど…そうやって自分の弱い部分を相手に出していくってことも甘えることになると思うよ。」

「…弱さを…出す…?」

「うん。一人で何でも抱え込まないで。
菜々子には俺がいるよ。菜々子がどんなことでへこたれても、どんな顔で泣いても嫌いになったりしない。
…だから、全部出していい。嬉しい気持ちも泣きたい気持ちも全部。」


奏人の言葉が身体中にしみわたっていく。
じわりじわりと身体が、そして心が温かくなっていく。

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