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* * *


「出掛けるぞ。」

「はいっ!」


玄関のドアを閉め、外へと出た。
ひんやりとした空気で余計に目が覚める。


「お前、何を願うわけ?」

「え?」

「初詣にそんなに行きたがるのは願いがあるからだろ?」

「それもありますけど…あの雰囲気が好きなんです。あ、あとおみくじです!」

「…で、願いは?」

「え?」

「何を願うんだ?」

「そっ…それは秘密です!」

「なんで?」

「お願い言っちゃったら意味ないじゃないですか!」

「…お前の願いくらい俺が叶えてやるっつってんだよ。言えよ。」

「内緒ですってば!」

「…お前、俺にそんな態度とっていいと思ってんのか?」

「へ?」

「…公衆の面前で恥ずかしいこと、してやろうか?」

「なっ…何言ってるんですか!?篤さんも私も教師でっ…。」

「教師でもやることはやるっつってんだろ?」

「もーっ!早く行きましょうってば!」


私は篤さんの手を引いた。


…お願い事はたった一つ。
あなたのそばで、いつでも笑っていられますように。


「あ、そうだ!今日の夜、ドライブ行きませんか?」

「なんで?」

「オリオン座、そろそろ篤さんが覚えてくれたかなーって思ったので。」

「…あーなるほどな。…いいよ、連れてってやる。」

「ありがとうございますっ!」

「その代わり、ちゃんと俺の言うことも聞けよな?」

「へっ?」

「…お前からキス、でいいから。」


そう言って口角を上げて笑った篤さんに、私はただ口をパクパクさせるだけ…でした。

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