7 STARS
「夏の大三角形はご存知ですか?」
「名前だけな。」
「ほら、あれです。あのすごく光ってる3つ。あれを結んで夏の大三角形なんです。」
「…どれだよ?」
「齊藤先生、ちょっとこっち来てもらえます?」
齊藤は一瞬訝しげに首を傾げたが、汐織の手招きに負けてゆっくりと汐織の方にやってきた。
開いたままのドアに少しもたれかかるように、齊藤が立っている。
「そこから丁度真っすぐ見上げたところの大きく光ってる星です。」
「あー…分かった分かった。あの3つな。」
「はい。七夕の織姫と彦星で有名な星二つと、はくちょう座のデネブ、3つを繋いで夏の大三角形って言うんですよ。」
「織姫と彦星の星があるのか?」
「はい。織姫の星がこと座のベガ、彦星の星がわし座のアルタイルです。」
「…詳しいな。」
「オタクっぽくてすみません。でも好きなんです。」
「謝ることじゃない。お前が何を好きだろうとお前の自由だし。」
「でもっ…あ…熱く語りすぎましたね。」
「いや、面白かった。俺には未知の領域だからな。」
「そう言っていただけて良かったです。」
「でも、帰り道、自転車乗りながら星見んのはやめろよ。お前みたいなドジはいつか事故る。」
「なっ…なんで私が帰り道星見てるって…。」
「勝手な予想だ、予想。」
「当たってるんで何とも反撃しにくいです…。」
せっかく少しは齊藤よりも優位に立てたと思った矢先、すぐに自分のクセを見破られてしまったことは、汐織にとっては小さな痛手だった。
…齊藤はやはり齊藤で、汐織の1枚上手どころか18枚くらい上手だ。
「名前だけな。」
「ほら、あれです。あのすごく光ってる3つ。あれを結んで夏の大三角形なんです。」
「…どれだよ?」
「齊藤先生、ちょっとこっち来てもらえます?」
齊藤は一瞬訝しげに首を傾げたが、汐織の手招きに負けてゆっくりと汐織の方にやってきた。
開いたままのドアに少しもたれかかるように、齊藤が立っている。
「そこから丁度真っすぐ見上げたところの大きく光ってる星です。」
「あー…分かった分かった。あの3つな。」
「はい。七夕の織姫と彦星で有名な星二つと、はくちょう座のデネブ、3つを繋いで夏の大三角形って言うんですよ。」
「織姫と彦星の星があるのか?」
「はい。織姫の星がこと座のベガ、彦星の星がわし座のアルタイルです。」
「…詳しいな。」
「オタクっぽくてすみません。でも好きなんです。」
「謝ることじゃない。お前が何を好きだろうとお前の自由だし。」
「でもっ…あ…熱く語りすぎましたね。」
「いや、面白かった。俺には未知の領域だからな。」
「そう言っていただけて良かったです。」
「でも、帰り道、自転車乗りながら星見んのはやめろよ。お前みたいなドジはいつか事故る。」
「なっ…なんで私が帰り道星見てるって…。」
「勝手な予想だ、予想。」
「当たってるんで何とも反撃しにくいです…。」
せっかく少しは齊藤よりも優位に立てたと思った矢先、すぐに自分のクセを見破られてしまったことは、汐織にとっては小さな痛手だった。
…齊藤はやはり齊藤で、汐織の1枚上手どころか18枚くらい上手だ。