その手で撫でて
「…藍ちゃんっ藍ちゃん!頼むからここを開けてくれ!」


ね、やっぱり野上さんだ。
なんで私何かの為にそんな必死なの

「…藍ちゃんと話がしたいんだ。」


野上さん、ずるいよ。
こんな時だけ真剣な声をだして


優しさも、今は辛くて受け入れられない。


「…ごめんなさい。」


擦れた声で精一杯の気持ちを込めて私は一言だけいった



「藍ちゃん、頼むから、鍵を開けて?少し話がしたいんだ」


野上さん…好き。好きだよ。



私は涙を拭いて、鍵を開けた。


目の前には、悲しそうな顔をした、野上さんが立っていた。


いつもの野上さんとは
何か違う気がした。

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