トリップ少女


そのころカレンは、最初に助けた若くハンサムな男性を海岸の岩場の陰に運んで看病していた


この男性こそ、船の主の一人息子にしてこの国の王子だった




「どうしましょう、どうしたら目を覚ましてくれるのかしら」



カレンは必死に考えていた


しかし何も浮かばなかった


なにせ溺れている人を看病したことなんて、カレンには一度もないのだから




「こんなとき若菜やミランがいたら」



カレンはどうしようもなく泣きたくなったが、ミランの言いつけを思い出して涙を流すまいとした



代わりにカレンは王子の顔をまじまじとながめた





「綺麗な顔…」




カレンの方こそ想像を絶するほど美しいのだが、本人にその自覚はない




カレンは男性の輪郭をなぞった


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