月夜の太陽
お茶を一口のみ、リリアさんにばれないように深く深呼吸をした。


これしかソルを守る方法はないのよ…。



「リリアさん…私の都合で申し訳ないんですが、お店を辞めさせて下さい」

「…理由を聞いてもいいかい?」

「婚約者から仕事を辞めて、自分との時間を作って欲しいと言われたので…」

「その婚約者の事は愛しているのかい?」



リリアさんの言葉に心臓が飛び跳ねるのが分かった。


きっとリリアさんも私がソルに惹かれていたことを知っているから、そんな事を聞くんだと思った。



「これから…愛を育んでいければいいなと、思ってます」



ロナウド様のことを思い浮かべ、嘘でも"愛してる"なんて言えなかった…。


これがソルだったら、迷わず"愛している"と言えたんだろうな…。



「あの…一つお願いがあるんですけど、いいですか?」

「お願い?」

「ソルには私から話をさせて頂けませんか?私の教育係をしてくれて、たくさん迷惑もかけちゃったので、自分の口から言いたいんです」

「分かったよ。ソルには黙っておくよ」

「ありがとうございます」






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