月夜の太陽
ロナウドが到着したと使用人が部屋に伝えにきたので、私はロナウドの待つ客間へ急いで向かった。



「ロナウドッッ!!」



部屋に入るなり名前を呼ぶと、ロナウドに笑われてしまった。


私に対してこんなに自然な笑みを見せてくれたのは初めてだなと思った。



『そんなに慌てていらっしゃらずとも、私は何処にも行きませんよ』

「…それもそうですね////」



今日のロナウドはいつもとなんだか雰囲気が違う。


そのせいか調子が狂ってしまう。



『ここで、お話致しますか?』

「いいえ、私の部屋にいきましょう」

『……そんなに私を信用して下さっているとは思いませんでした』

「一国の王子の貴方が、女性が嫌がるような真似は絶対に致しませんわ。それにそんな事をすれば私の信用のみならず、エメラルディア家からの信用も失ってしまいますもの」



ロナウドは私の言葉を最後まで聞くと、何も言わず笑みを溢して私の隣に立った。


そしてそれから私たちは言葉を交わさぬまま、私の部屋へと足を進めた。






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