月夜の太陽
震えるロナウドの体を落ち着かせる術が私には分からなかった。


今の私たちは友人でも恋人でもない。


関係性もよく分からなければ、お互いのことを何も知らない。



「アマンダさんの事はいつから、その…想いを…寄せてらっしゃるんですか?」

『……シエル様と婚約を結ばれる少し前からですかね』

「そんなに長い間ですか!?」

『えぇ』



思わず私は驚いてしまい、ロナウドに苦笑いされてしまう。



「あっ…ごめんなさい……」

『謝らないで下さい、驚かれても仕方ありません』

「アマンダさんはお父様と婚約を解消したのに、どうして…想いを伝えなかったんですか?」

『それは……父に反対されたからです』



お父様に全てを支配されてしまっているという思いからか、自分の事を情けなく思っているようだ。


でも、そんなロナウドのことを私は情けないなどとは思わない。


きっと私もロナウドの立場だったら同じ事をしていたかもしれないから……。





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