月夜の太陽
私たちは一息つくかのように、同時にティーカップに口をつけ紅茶を一口飲んだ。


あれほどロナウドと一緒にいることが嫌で堪らなかったのに、今ではそんな気持ちは一切なくなっていた。



「私たちはお互い叶わない想いを胸に抱えて、生きていかなければいけないんですね」

『ルナの想いを叶わないものにしてしまったのは私です……』

「そんな事ありません。だからご自分を責めるのはやめて下さい」

『…ありがとうございます』



いつか私も折を見てロナウドに話をしよう。


今はまだ話すには早いような気がするから。



「出来る限り幸せになりましょう」

『ルナ………』

「敬語も止めませんか?私たち、ある意味似たもの同士ですし…でも、傷の舐め合いをしている様な関係にはなりたくないんです」

『あぁ、そうだね。ありがとうルナ…私が言うのもおこがましいが、幸せにするよ』

「ありがとう」



私が笑って見せると、ロナウドも微笑み返してくれた。


初めてお互い心から笑い合えた瞬間だった。





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