月夜の太陽
ロナウドはブローチを手に、『これを下さい』と言ってお金を払っている。


そして私の胸元にそのブローチを付けてくれた。



「いいの?」

『私がルナに贈りたかったんだよ』

「ありがとう」



私が笑顔でお礼を言うと、少し照れくさそうにロナウドは笑った。


きっと、私が何を思ってここを歩いているのか分かったんだね。


ロナウドは人の心にとても敏感だから。



「今度は私がロナウドに何か贈るわっ」

『気を遣わなくていいよ』

「気なんて遣わないわよ」

『それも少し悲しいかもしれない……』



シュンっと肩を落とし本気なのかわざとなのか分からない様な落ち込み方をするロナウド。


だけど私は気にせず笑ってまだ通っていない道へと足を進めた。


どうやらわざとだったらしいロナウドは早足で私の横に立ち、同じく笑いながら歩いている。


ソルから貰ったネックレスは大切にしまってある。


その代わり今の私の胸元では、ロナウドから貰ったブローチが勝ち誇ったかのようにキラキラと輝いていた。






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