月夜の太陽
『お待たせ』



そう言って料理を持ってきてくれたのはフィズさんではなかった。


帽子を被っていて、銀色の目をした男性だった。



「ソル、ありがとう」

『ごゆっくり』



エレナの言葉にニコリともせずに早々と立ち去ってしまった。


忙しいからしょうがないんだろうけど、あの態度どうなの!?



「ソルはフィズの弟でいつもあんな感じなの。でも根はすっごくいい子だよ」

「そうなんだ。フィズさんはあんなに柔らかい雰囲気なのに対照的な兄弟だね」

「でも、ソルに負けないくらいサハルドも鋭い雰囲気だと思うけどね!!」



エレナの言うとおり、サハルドの雰囲気は鋭くて、ここでは変に目立つ。


ラキに似てたらもっとフワッとした感じになってたんだろうな。



『何が言いたいんだよ』

「父親似だもんね。だから、その顔と雰囲気はもうしょうがないんだろうなと思って」

『ほっとけ』





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