月夜の太陽
みんなそれぞれ椅子や隣のベッドに座り、話をする態勢に入っていた。


療養する部屋なはずなのに今は会議室のようだ。



『ソル、お前は最後剣を使わなかった。レイドに一体何をしたんだ』

『ルナが刺されて俺の頭の中は真っ白になり、そして怒りに変わり感情のままレイドにぶつかりました。ですがレイドには手も足もでませんでした。そんな時、頭の中で声が聞こえたんです』

『声?』



その時の状況を今よくよく思い出すと可笑しくてつい笑ってしまった。


あの時の俺はどうかしていたんじゃないかと思ってしまいそうだが、どんな会話をしたのかよく覚えている。


夢のようで夢ではない時間だった。



『可笑しい話と思うかもしれませんが、父に怒られたんです。そしてレイドを殺しビリー様を救う方法を教えてくれました』

『奴の専門だったな……闇の術に関しては………』

『魂を分離させる術を教えてもらいましたが、俺はレイドの…ビリー様の体を押さえ胸に手をのせただけで呪文は父が俺の口を使って唱えました』

『その呪文は覚えているか』

『すみません、その時は意識を半分なくしているような状態でしたので覚えていないんです』



魂を分離させる呪文は恐らく普通の術書には載っていないんだろう。


そんなものに載っていればシエル様が知らないはずがない。





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