月夜の太陽
暫くすると、段々と馬の足音が近付いてきた。


驚く事に、一人はこの国の騎士団長エルグラムさんだった。


もう一人はフードを被っていて顔が見えない。



『久しぶりだな。元気そうで何よりだ』

「ジオラさんとザックも元気そうで安心しました」



フードを被っているのはどうやら女の人のようだ。


その女性の声は、聞き惚れてしまうほど上品で透き通るような綺麗な声をしていた。



『急に呼んじまってすまねぇな。銀のナイフで刺されちまってるから、俺たちじゃどうしょぉもなくてよ』

「お城から近い場所で良かったです」



…お城?


地面に座り俺の傷を見る女性が、フードを下ろし髪の毛を高い位置に一つに結い上げた。


俺は驚き過ぎて言葉が出なかった。


生きてきた中で一番の驚きかもしれない。






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