ちぐはぐ遠距離恋愛



たったこの数十分間。

一週間に一回のこの時間。
月曜日の朝礼。


近づかなくなったこの距離に気づかされる。



辛くて、……苦しい。



「きょうつけ、礼」



先生の声で頭を下げる。



「では三年生から退場してください」



その言葉にクルリと向きを変えた舞。



「さっきの校長先生、おもしろすぎ」

「舞、笑いすぎだよ」


口を押さえて笑いつづける舞を横目に、列が動きはじめた。


ドキドキしだす、この数秒間。

辛い気持ちを少しだけ変えられる瞬間がくるんだ。


A組でよかったと思えるとき。



B組の1番後ろの隣。



A組の1番前が通りすぎる。



話なんてしない。

目なんてあわない。

あっちは、あたしが通ったことに気づかないかもしれない。



でも、


いいの。



ほら、
あなたの声が聞こえたよ。



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