ちぐはぐ遠距離恋愛
体温計を脇に挟んだ。
数分後、目に入ったのは、37.9。
夜になったからか、熱も下がりはしない。
(明日は休みかぁ)
あたしは布団に入り智春さんを呼んだ。
だけど、入ってきたのは……。
ガチャ―――
「おい」
「…は?」
諒太だった………。
「ちょ…な、何?」
あたしはつい布団を上まで引き上げた。
「何度?」
「はぁ?」
「熱、何度あった?」
「…37.9」
「へぇ」
それだけ言って扉をしめた諒太。
「い、意味わかんない!!」
あたしは上昇する体温を必死に押さえた。
(てか…)
「こんなことでドキドキしないでよ」
(あたしの馬鹿……っ)
そんなことを言っても、
あたしの体温、
あたしの鼓動の速度……。
ちっとも良くならなかった。