ちぐはぐ遠距離恋愛



グイッと腕を引っ張られて屋上の外へ。



「先ぱ…っ」



先輩が階段を降りる早さはあたしには着いていけなかった。



(怖い!)



咄嗟にその場にしゃがみ込んだ。




「おっと!」




先輩も止まる。




「どうした?」

「早い…」

「え?」

「降りるの早すぎるんですっ!」



手すりを掴む手にギュッと力を入れ直す。



「あ、ごめん」



先輩はそう言ってあたしを立たせた。


二段下にいる先輩。
身長は、―――諒太と同じか少し高いくらい。


先輩に握られた腕は少し高い位置にあって…。





まるで、

絵本のなかの、『シンデレラ』のような状況だった。





「お!これってさ、シンデレラっぽくね?」

「えっ…」




あたしと同じことに気づいた先輩は調子に乗ってその手をもっと高くあげた。




「ぅわ…っ」




先輩は目の前で、もう片方の腕を中腹部にあてお辞儀をした。




「ゆっくりどうぞ、お姫様」





(お、お、お、―――お姫様?!?!)






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