ちぐはぐ遠距離恋愛



一人、知らない自分に襲われる中……。

先輩の口が開いた。




「ゴメンね。それは出来ないや」

「えっ?」



誰よりも…告白した女の子よりも早く、声を出したのはあたしだった。


「あ、すいません」


少しばかり頭を下げる。




でも、……何でだろ?


見た目はこんなに可愛いんだよ?

性格悪そうな印象はあくまでもあたしの意見だから…。
そんなのは関係ないもん。


それとも、先輩も同じように感じたのかな?


「何で、ですか?」


ちょっと震える声で聞いた女子。


「俺、君のこと何にも知らないから。名前だってわかんないし…」

「それは、これからだって知って行けるから…」

「でも、俺は正直言って君を“好き"ではない」

「………っ、でも!付き合ってみたら変わるかもしれないし……。だから、付き合ってみるだけでも…」




きっと、ここにいる誰でもウザいと思っただろう。

普段そういう顔を見せない葵先輩とゆかり先輩…それに高杉先輩だって不機嫌そうな顔をしてたから。



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