ちぐはぐ遠距離恋愛




しつこくて面倒くさいこの子はやっぱり性格悪かった。
そしてこれを、あたしの性格が許さなかった。

まだ先輩にとってかかる女子にプチッと音をたてて何かが切れた。


「お願いします!あたしとなら先輩も…っ「いい加減にしなよ!グダグダ グダグダ…言い訳ばっきり言ってんじゃない!」

「「「ま、真白(ちゃん)??」」」



びっくりしたような皆の声が聞こえたけど、あたしはお構いなしに口を動かす。


「だいたいね、あんた先輩が好きならその先輩を苦しめるようなことしてどうすんの?
迷惑かけるの?それであんたは幸せになれるんだ」

よく考えれば、そういうことだ。

迷惑かけて、これ以上ダメになって……。


「違うでしょ?
少なくともフラれてここでしつこく言わずに去ればまだ可能性はあったかもしれない!

諦めなかったのは良いと思うよ?それで小さくまた努力していけば先輩も振り向いてくれるかもしれないじゃん!」


なのに、なのに…!


「それを自分で潰してどうすんの?!あんたは可能性があるんだから、もっと頑張れば良いじゃん!
必死に先輩に好きになってもらえるように…頑張れば……」


可能性が、あるんだから……。

あたしと同じじゃないんだから……。


「ムダにしないでよ…。これ以上、嫌われないように…!……迷惑なんてかけないほうが身のためでしょ?

とりあえず一旦ここは引くべきでしょうが!今の先輩はあんたが好きじゃないの…!」



両想いなんて…。

いくつの確率なんだろうか。

それは偶然なんかじゃなくて、奇跡と呼ぶほうが正解かもしれない。


あたしは好きでも、あっちが好きじゃなかったら何の意味もないから…。

だから頑張るんでしょ?


それでもあたしは自分でその蕾を潰しちゃったから……。
もう無理なんだ。

だから違うものを目指す。


好きになってもらう……。


そうじゃない。



これからも、あなたの中で…小さな存在でも良いから、生きて行けるようになるの。



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