ちぐはぐ遠距離恋愛
少し息切れした。
体が、熱い。
「高杉先輩…」
小さく彼女は口を開いた。
「先輩には、大野先輩がいるからですか?」
「「は?」」
あたしと先輩の声が同じトーンで響く。
後ろの彩夏達の背筋も伸びる。
彼女も少し身を震わせた。
「そういうことじゃない。今のは率直なあたしの意見だ」
「要するに、先輩も高杉先輩が好きなんですか?
それとも、もう付き合っていて大好きな彼氏を取られないようにしたいんですか?」
あたしをじっと睨む彼女。
(バッカじゃねーの?!)
と、本気で思った。
今のあたしの言葉をどう抜き取ったらそんな解釈ができるんだよ!
「大きい勘違いして「それは一種の束縛じゃないですか」
「は?だから違「そんなの、高杉先輩が可愛そう」
あたしの話を聞こうともせず、一人でベラベラ喋る。
(いい加減にしてよ…)
あたしの心がせっかく注意をしているのに、止まらない口。
「あたしならもっと先輩に尽くせる。あたしのほうが先輩にお似合いです!」
「だから!人の話を聞けって言って「いい加減にしろ!!」
周りの空気が少しざわついた。
あたしの言葉を遮って先輩の今まで聞いたことのない音が突き抜ける。
「他人の悪口ばっか言ってんじゃねぇ!」