Addict -中毒-
何言い出すのよ、このオトコは。
「当たり前でしょ?人形じゃあるまいし」
半ば呆れて啓人を軽く睨むと、彼は
「だよね♪」なんて言って笑った。
何なのよ……
まるで情熱的な恋人のようにベッドに誘ってきたってのに、ムードをぶち壊すその様子に……
彼は本気じゃないんじゃないか、って思った。
ホントに一瞬。
だけどふいに彼の口付けが私の腹部に落ちてきて、私の背中がびくりとのけぞった。
彼はその反応を楽しむかのように、へその辺りを舐め上げる。
ぞくぞくと震えるような快感が足のつま先から背中を通って、頭を突き抜けた。
小さく声を漏らすと、彼の…おなかを探っていた手は私の胸元まで移動してきた。
「紫利さん」
名前を呼ばれて、私は彼の濡れた髪に手を滑り込ませた。
胸のふくらみに触れながら、彼は顔を上げ私に口付けを落としてくる。
「紫利……さん…」
もう一度名前を呼ばれ―――
私は彼の首にぎゅっと腕を巻きつけた。