Addict -中毒-
「あ!待って!『いくつに見える?』ってのは勘弁ね。あれ結構困るんだ」
彼は軽く両手を挙げると、本当に「降参」というポーズをつくった。
面白い男。
「今年で31よ。そっちは?」
「へぇ。俺より五歳年上かぁ。俺は範囲内??」
五歳年下……ってことは今現在25…か。
私の思った通りだ。やっぱり若い。
「こっちが聞きたいわ。私はあなたにとって範囲外でしょ?」
「俺ストライクゾーン広いの。こう見えてピッチャー経験者だぜ?」
彼はカラカラと笑った。
「あんたはフォアボール出して塁にランナー出すのがオチよ」
私の冗談に、彼は豪快に笑った。
「いいね♪やっぱおもしろいわ」
面白い―――
なんて言われて嬉しいか、そうじゃないか。
やっぱり嬉しくないけれど、彼に言われるのは全然悪い気がしない。
綺麗だね。美人だね。
そんな風に言われ慣れてるから、新鮮だったの。
それにむしろそれが彼の最高な賛辞な気がして、
またも私の心臓が高鳴った。