Addict -中毒-
どこに住んでるの?この辺?
旅行はどこに行ってきたの?
どの国が好き?国内ならどこ??
彼の質問攻撃は続いた。
でも、どれも返答に困るような深い質問じゃない。
私が結婚していて、夫が居ることに関しての質問もないし、突っ込んでもこない。
敢えて避けているようには思えなかった。
ただ本当に―――興味がなさそう。
私はいつもよりハイペースで、一杯目のルシアンを空にした。
「おたくだって早いジャン。大丈夫?でも酔っ払ったら俺が介抱してあげるよ?」
そう言ってさりげなく肩を抱いてくる。
この前キスされたときの、力強さと体温が伝わってきて、またもあの足から崩れ落ちるような衝撃が走った。
「残念ね。介抱の心配はないわ」
私はわざとそっけなく言うと、彼の手を軽くつねった。
「ちぇ」と彼が可愛く唇を尖らせる。
可愛かったり、強引だったり。
どれがホンモノの彼なんだろう。
どれも本物な気がして、
だけどそれ以上にどれも造りもののような気がする。