Addict -中毒-
淡い灰色に見えた瞳は、こうやってみると澄み切ったアイスブルーにも見える。
深い水の底を思わせるような、それでいて水面から見上げる空のような
不思議な色。
何を考えて、どんな言葉が飛び出してくるのだろう、
どう切り替えしてくる?
私はちょっとワクワクして彼の次の言動を待っていた。
だけど、出てきた言葉は、
「飲み比べしようぜ?どっちが強いか競争だ」
子供そのもの。
私は吐息をついた。残念な気もした。
「ガキ。お酒は競争に使うものじゃないわ。こうゆう場なら尚更ね。そんなに飲みたいのなら場末の安い居酒屋にしなさい」
呆れかえって言うと、彼は楽しそうに目尻を下げて私を覗き込んでくる。
「自信ないの?年下のガキに勝てるかどうか」
私は目を開いた。
「銀座のマダム・バタフライはお上品にお酒を飲むところだから、しょうがないかぁ。一本何百万もするシャンパン開ける、金持ったセレブ相手だもんなぁ。金にならない俺なんて相手にするだけ時間と金の無駄か」
私は彼の言葉に、何かが音を崩れるのを聞いた気がした。
「クソガキが。
銀座の女を舐めるんじゃないよ!
勝負でも何でもやってやろうじゃないの。
だけどあんたみたいなガキに私が負けるわけないじゃないの!」