Addict -中毒-
思わず啖呵をきってしまった。
悔しい、悔しい、悔しい!
こんな何も知らないガキに、私だけならまだしもマダム・バタフライも愚弄されるなんて!
そんな思いが、私に勝負を炊きつけた。
彼はテーブルに肘をつくと、ちょっと勝ち誇ったような笑いを漏らし、
それには私の方が面食らった。
「大人の女も挑発はかわすべきじゃない?」
しまった―――
やられた
「飲み比べなんて最初からするつもりねぇよ。俺だってそこまで強いわけじゃないし?」
やられた、やられた、やられた!
「強いじゃない。さっきから度数の高めのものばっかり。でも全然酔った雰囲気じゃないし」
「そー見えるだけじゃない?」
彼はのんびり笑って、私から視線を逸らす。
急に興味がなくしたような―――冷めた横顔だった。
以前この場所で女と言い合いしてたときの
冷淡な視線。
「何なのよ、あんたは……」
良い様にかき回すだけかき回して、興味が失せたらすぐに捨てる。
最初から分かってたじゃない。
彼が酷いオトコだって。
私の口から出た言葉は―――抑揚を欠いた弱々しいものだった。