朝が待てなくて

「で? 観たかった映画はどうだった? 満足したの?」


向かいの席から樹が訊いてきた。


「感動した……って言ったら、樹笑うもん」


「笑わないよ、はは」


と彼はもう笑った。



「誰かさんが空気の読めない発言するから興ざめしちゃったし。もう樹とはロマンチックな映画は観ないからね」


わたしが口を尖らせると、彼は言った。


「それ、よく言われたし」


………。





「誰に?」


「え、あ、友達」


ちょうど運ばれて来たミニサラダをむしゃむしゃ食べながら樹は言った。




そこんとこの明言を避けようとする配慮はちゃんとあるらしい…。


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