朝が待てなくて

5月の終わり――


お花見以外でも誘ってくれる約束をして
でも、なかなか都合が合わなくて、会えなかった頃だ。


結局二人で映画を観たのは6月の後半

先々週だったね。




「お前、ツンとすまして歩いててさぁ、何か別人みたいだった」


「へ?」


「制服着て、ちゃんと女子高生してて…
大人っぽく見えた」


「ふふ、ホントに?」


ハンドルを軽く動かしながら、樹がうなずいた。


「周りのやつらもみんな自由で、輝いて見えて、ああ、こいつら本当に高校生なんだな…って思ったよ」


< 214 / 771 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop