朝が待てなくて

「兄貴達、国際ライセンスなら申請してるけどな」


「は? うらやましくねーの」


さっきの彼の口真似をしてやった。


そうしたらツボにはまったのか、大淀はしばらく肩を震わせて笑っていて…


笑い終わると彼は、何だか晴れやかな顔をして言ったんだ。



「ほんと面白いのな、上野って」


はぁ? わたしがですかぁ?






しばらく歩くとトラックが4,5台停まっている駐車場が見えてきた。


「あ、ここが彼の会社。本屋さんは?」


「ああ、まだ先」


じゃあな、と大淀が言った。


「うん。バイバイ」





軽く手を振り方向を変えて歩き出したわたしを
「上野」と彼が呼び止めた。



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