朝が待てなくて

涙のバースデー


その晩、思いがけない人から電話があった。


「真琴ちゃん?」


お花見以来の香美さんの声だ。



「ゴメンねー、わたしのせいなんだよ」


いきなり謝りだす香美さん。


「美里のことは口止めもされてたし、樹に話すつもりなかったのに、うっかり口をすべらせちゃって……。気にしてるよね? 樹があの子の相談にのってること」


「あ…、ううん。大丈夫ですよ」


香美さんこそ気にしてくれてるのが伝わってくるから、思わずそう答えていた。




「あいつ、真琴ちゃんにしっかりしゃべっちゃってるんだって? 美里のこと」


「え、ちょっとだけ」


「ほんとバカだよね、樹って……」



香美さんはため息をついた。


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