朝が待てなくて
「実は美里にも泣かれちゃったんだよねー。樹にはDVのこと知られたくなかったって」
やっぱDVなんだ……。
え、知られたくなかったの?
「世の中には自分の不幸話で男を釣るような女もたくさんいるのにさぁ、意地っ張りなんだよ、美里は……。『幸せになりたいから』って別れたのに、今さらみっともないじゃん、って泣いてんの。樹にカッコつけたってしゃーないのにねー」
香美さんはまたため息をついた。
「まぁ、美里はそういうやつだから、真琴ちゃん心配しなくていいよ。樹が彼女持ちだってこと、ちゃんとわかってるし」
それを言うために、香美さんはわざわざ電話をくれたのかな…?
優しい心遣いが素直にうれしかった。
だけど、なんてゆーか……
美里さんがもっとイヤな女だったらよかったのにって思ってしまった。
そんな不器用な部分を知ってしまうと、嫌いになれなくなる。