朝が待てなくて
「大淀、背が伸びた?」
並んだ肩の位置が微妙に高くなった気がする。
「さぁ? 測ってねーし」
ふーん、と今度はわたしが言った。
夜道に、街灯の白い光がきれいで
その光に照らされた横顔が、クスッと笑った。
「ヘンなやつだよな、あいつ」
「あ、え、樹?」
「あーゆー規格外のやつ、一番苦手だ」
「規格外、かなぁ?」
「いつのまにか、人の心の中に入り込んじゃってる感じ?
あんなふうになんの壁も作らずに自然体で来られると、肩ひじはって身構えてる自分が、やたら小さく思えてくる」
フ、と大淀は軽く息をついた。
「俺みたいに屈折しちゃってるやつは、あーゆー無駄に素直な人間には、かなわねーな」
なんて言う。