朝が待てなくて

それから


「いじらしいよなー、大淀」


ポソッと樹がつぶやく。




「樹にはかなわないって言ってたよ」


わたしがそう言うと


「当たり前だ」


なんて言いながら、彼は二、三歩歩いてから振り向いた。




「俺はあいつより7コも上だぜ? そう簡単には負けらんないの」


そこまで言って、軽く息をつく。




「だけど7年後の、今の俺と同い年になった大淀が突然タイムスリップしてきたら……俺、負けちゃうかもなぁ」


「え」


「かなりいいと思うぜ、あいつ」


なんて樹は言った。




大人になった23歳の大淀――。


確かに……。
きっと素敵だ。


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