ラフ
ありがたい話だった。
もちろん、東京進出は狙っていたし、ゆくゆくは、活動の場を東京にしたいと思ってた。
でもそれは、ほんの数日前までの話だ。
今は、こっちを離れたくない理由がある。
多分、堺も同じ気持ちだろう。
ロケ現場に到着した。
いったん、この話は忘れよう、と自分の頬をバシッと叩いて、気合を入れた。
ロケが終わって、次の現場へ向かうときだった。
「そういえば、たなぼたさんたちって、ピースさんと同じ事務所やんね?」
スタッフの一人に声をかけられた。
そうですが、と返事をすると、ものすごく、好奇心旺盛な顔を向けられた。
「ねね、今朝スクープされてた、高松さんの彼女って、誰か知っとる!?」
聞かれてきょとんとする。
高松の周りには、常に女の子がいる。どの子のことをさしているのか、皆目検討がつかない。
「今朝スクープて、何の話ですか?」
堺が聞くと、スタッフは知らないの?とびっくりしていた。
「昨日、高松さんが、女の子遊園地デートしてて、抱き合ってたらしいんよ!今まで。高松さんのそういうスキャンダル的な写真って何度か出たことがあったけど、高松さんが、嬉しそうに笑いながら抱きしめてるのって、今回が初めてだ!ってかなり話題になってるみたいで」
2人は顔を見合わせた。
昨日、と日時を断定されたら、該当は奈緒しかいない。
抱き合ってた!?抱き合ってたってなんだよ!?
軽くパニックになる。
「2人とも知らない?」
スタッフに聞かれて、はっと我に返った。
さぁ、とだけ短く答えて頭を横に振った。
「そっかー。残念。珍しく、高松さんの本命か!?なんてテレビで言ってたからさー。もう気になっちゃって」
せっかく、朝、最高の気持ちで奈緒を見送って、仕事に集中しようと思っていたのに。何でこんなに心をかきみだすんだ!
奈緒は、昨日のことは何も教えてくれてなかった。
聞かなかった俺が悪いのだろうか。
言いづらかったのかもしれない。
でも。
抱き合ってたなんて、そんな。
信じたくない。
ただ、それだけ思った。
もちろん、東京進出は狙っていたし、ゆくゆくは、活動の場を東京にしたいと思ってた。
でもそれは、ほんの数日前までの話だ。
今は、こっちを離れたくない理由がある。
多分、堺も同じ気持ちだろう。
ロケ現場に到着した。
いったん、この話は忘れよう、と自分の頬をバシッと叩いて、気合を入れた。
ロケが終わって、次の現場へ向かうときだった。
「そういえば、たなぼたさんたちって、ピースさんと同じ事務所やんね?」
スタッフの一人に声をかけられた。
そうですが、と返事をすると、ものすごく、好奇心旺盛な顔を向けられた。
「ねね、今朝スクープされてた、高松さんの彼女って、誰か知っとる!?」
聞かれてきょとんとする。
高松の周りには、常に女の子がいる。どの子のことをさしているのか、皆目検討がつかない。
「今朝スクープて、何の話ですか?」
堺が聞くと、スタッフは知らないの?とびっくりしていた。
「昨日、高松さんが、女の子遊園地デートしてて、抱き合ってたらしいんよ!今まで。高松さんのそういうスキャンダル的な写真って何度か出たことがあったけど、高松さんが、嬉しそうに笑いながら抱きしめてるのって、今回が初めてだ!ってかなり話題になってるみたいで」
2人は顔を見合わせた。
昨日、と日時を断定されたら、該当は奈緒しかいない。
抱き合ってた!?抱き合ってたってなんだよ!?
軽くパニックになる。
「2人とも知らない?」
スタッフに聞かれて、はっと我に返った。
さぁ、とだけ短く答えて頭を横に振った。
「そっかー。残念。珍しく、高松さんの本命か!?なんてテレビで言ってたからさー。もう気になっちゃって」
せっかく、朝、最高の気持ちで奈緒を見送って、仕事に集中しようと思っていたのに。何でこんなに心をかきみだすんだ!
奈緒は、昨日のことは何も教えてくれてなかった。
聞かなかった俺が悪いのだろうか。
言いづらかったのかもしれない。
でも。
抱き合ってたなんて、そんな。
信じたくない。
ただ、それだけ思った。