ラフ
『えー、今回の事件ですが、高松さんのファンによるものではないか、という疑いがあるようなのですが』

アナウンサーに聞かれ、高松は真剣な表情をしていた。

『今回の件で、私も、警察の方から、いろいろと協力を要請されました。正直、警察の方から、今回の原因となった、ネット上での掲示板の書き込みを見て、愕然としました』

高松の表情には怒りがあらわになっていた。

『自分のファンの子たちが、こんなひどいことをしているのかと思うと、非常に残念でなりません。ネットという、匿名性の高い世界で、ファンだという方が、こんなひどいことをしていると思うと、正直、軽蔑してしまいました』

ふぅ、と息をつく。

『今回、事件を起こしてしまった人たちは、素直に、警察へ出頭してほしい。それができないのであれば、私のファンはやめてほしい。今回の件で、彼女には非常につらい思いをさせることになってしまいました。私は確かに、彼女に好意を持っていますが、ですが、彼女にはフラレていて、今は友人として付き合っています。私のことを好きになってくれ、応援してくれるのは本当に感謝していますが、私の友人や大切な人を傷つける権利は、ありません。そこの部分を、よく、理解していただきたいと思います』

高松が話した後、スタジオがしん―――となった。
沈黙を破ったのは高瀬だ。

『ファンの皆さん、応援し、僕たちを好いてくれるのはとても嬉しいですが、僕たちも人間です。誰かを好きになったりもします。そこの部分は忘れないでくださいね。これからも、応援よろしくお願いします』

そう言うと、高瀬はにっこり笑って、カメラに手を振った。
そして、CMへとうつった。
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