ラフ
「またまた、全国ネットであつぅい告白だったねぇ」

九条がちらっと奈緒を見た。奈緒の顔は真っ赤だった。

「・・・彼氏がいても、やっぱり照れる?嬉しい?」

「・・・九条さん、からかわないでくれますか」

ほっぺたを両手でぺたぺたと触る。顔のほてりがさめるように。
昨日から、立て続けて聞いた、高松の告白。当然、あんな、全国ネットで告白されて、嬉しくないはずがない。私だって女だもの、そりゃ嬉しい。

しかし、あれはちょっと、恥ずかしすぎた。


「しっかし、高松さん、怒ってたねぇ」

しみじみと、九条はコーヒーをすすりながらしゃべった。

「・・・確かにそうですね」

あんな高松の顔は見たことがなかった。
本気で怒っていた。

「ああやって、呼びかけてくれたんだ。犯人、自首してくれたらいいけど」

「そうですね。そしたら、私も、安心して生活できるんですけどね」

「あはは、そうだね」



高松のTVを使った訴えは予想以上の効果をもたらした。

今回の、事件の実行犯をはじめ、ネットで書き込みをした人たちも何人か警察へ出頭してきたらし。
お昼を過ぎたあたりで、今里から九条にメールが入ってきた。
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