ラフ
中に入って思い出す。

「あ、そうだ。これ・・・今日、暇だったんで、久しぶりに作ったんですけど、量が結構できちゃって、よければいかがですか?」

そう言って、持ってきた袋を差し出した。

「え?なになに、これ、もらってかまんの?」

高瀬が聞くと、うなづいた。

「どうぞ。高松さんと、高瀬さんと、岸田さんの分で、3人分。持ってきたんで」

そう言うと、岸田が驚いた。

「え?僕の分もあるんですか?」

「え?あ、はい。先週は、いろいろとご迷惑もおかけしてしまいましたし」

「えぇ!?そんな、いいのに!」

といいつつ、中に入っていた箱を開けた。

「すごい、お菓子が入ってる!」

「これ、全部奈緒ちゃんが作ったん?」

「はい。暇に任せて、久しぶりに作ったら、量が結構できちゃってて」

あはは、と苦笑いをすると、高松が中に入ってきた。

「あれ?奈緒ちゃん!もう来てたんや。いらっしゃーい」

そう言って抱きついてくるので、ひょい、と横によけた。

「わー、相変わらずつれんなぁ・・・ってあれ?岸田さん、それなに?」

岸田の手に持っているものを指差して聞いた。

「あ、高松さん。これ、奈緒ちゃんからの差し入れですよ、差し入れ!」

シュークリームをほおばりながら答える。
高松はひょいっと箱の中を見て感嘆する。

「え、奈緒ちゃんが作ったの?」

「えへへ、暇だったもんで」

苦笑して答えた。

「すっごいなぁ・・・」
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