ラフ
チケット売り場に到着したが、やはり泉の姿はない。
何度か携帯にかけてみたが、出ないし、留守電になる。

多分、昨日結構遅かったせいやと思うけど。
・・・でも、マンションには知らん女の人がおって・・・

昨日結局、何があったんやろ・・・


泣きそうになる。
昨日、泉と別れた後から散々な出来事しかない気がする。

マンションの部屋番号、間違えただけかも。

そう思って、確かめようと明日香の携帯にかけてみた。
でるかどうかはわかんないと思いながらかけると、明日香が電話に出た。

「あ、おはよ、明日香」

『んー、おはよ。どしたー』

明日香はまだ半分寝ぼけているようだった。

「そこに、堺君いる?」

『んー、ちょっと待って』

暫く電話の向こうでぼそぼそ言う声が聞こえた。

『もしもし、堺です』

「あ、朝早くにごめんね。奈緒です」

『おー、奈緒ちゃん。どしたの』

「実は・・・」

電話で事情を説明して、泉の部屋番号を教えて欲しいと伝えた。

『部屋番何番で呼び出した?』

「701ですけど・・・」

自身なさそうに答えると、暫く無言になった後、ちょっと待ってて、とだけ言われて、明日香が電話に出た。

『あれ?どしたの、香月。・・・もしもし?なんかちょっと待ってって』

何があったのかを明日香にも説明すると、明日香がなにそれ!と怒り出した。

『女連れ込むってどーゆーことよ!』

「いや、まだそうと決まったわけじゃないんやし」

なんだか立場が逆転してないか?と思いながらまぁまぁ、と明日香をなだめた。
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