ラフ
数分たったくらいか、また、堺が電話に出た。

『もしもし、奈緒ちゃん?』

「あ、はい」

『押した番号は、あってる。701。で、理由は分かったけど、俺から聞きたい?』

堺に言われて、一瞬言葉に詰まった。
理由はすぐに知りたいけど、でも。
本人の口から聞きたい。
ちゃんと、直接。

「いえ、理由は泉君から直接聞きたい・・・です」

少しためらいながら答えた。

『・・・分かった。多分、要にはもう、連絡つくと思うし、一回連絡したってくれへん?』

「あ、はい・・・わかりました」

『ごめんな』

「いえ、朝早くから、ホントにすいませんでした」

そういって、電話を切った。
ふぅ、と深呼吸をして、泉に電話をかけてみた。
数コールしたところで、電話に誰かが出た。

『あ、もしもし、奈緒!?』

泉の声に安心した奈緒。

「泉君・・・」

その瞬間だった。泉の携帯から女の人の声がした。

『泉さーん、誰ー?』

インターフォンの女の人の声。思わず電話を切った。

「あ、やば、切っちゃった」

はっと我に返る。すぐに泉からの着信が入った。
でも、怖くて電話を取れない。


いや、やだ。怖い。


何度もかかってくる泉からの電話をとることができず、思わずそのまま電源を切ってしまった。
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