ラフ
「はぁ・・・」

またため息がでた。このたったの2日間で、いろんなことがありすぎて、正直なところ、脳みそが正常に働かない気がした。

「だいぶ、落ち着いたみたいやな」

笑って背中をさすってくれる高松。

「・・・ごめんなさい」

いえいえ、と頭を撫でてくる。

「泣いてた理由、教えてもらえるか?」

高松に言われて首を横に振った。

「そっか、なら、無理には聞かんよ」

変わらず笑っていてくれた。今は、その高松の笑顔に安心した。

「何があったかはよくわからんけど、こういうときはぱぁっといくべきやで!」

高松が立ち上がって手を差し伸べてきた。
しかし、まだそんな気分ではなかった。

「あり・・・がとう・・・です。でも、今は、そんな気分じゃ・・・」

そういって断ろうとすると、高松がストップ!と手を目の前に出してきた。

「だまされたと思って、ついてきてみ。おっちゃんが、ええとこ連れてったる」

おっちゃんって、と少し笑った。
その顔を見て、高松はニカっと笑ってきた。

「そう、その笑顔!奈緒ちゃんは笑ってるほうがええねんで!」

そういって、手を引っ張っていかれた。
公園のすぐそばにある、高級マンションの駐車場の入り口に連れて行かれた。

「ここでちょーまっといて」

そういうと、高松はびっくりするような速さで駐車場の中に消えていった。
ほんの少しして、大きなエンジン音がした。

「な、なに!?」

駐車場の中から、黒いポルシェが出てきた。
運転席には、高松がいた。
高松は、助手席の窓を開けて、乗るように促した。

「で、でも・・・」

「ほら、いいから!」

高松に負けて、車に乗り込んだ。
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