ラフ
***** 泉's View *****

ちょうど、大部屋を出ようとしたときに、奈緒から居場所の返信がきた。

「・・・控え室の前?」

いまいち意味がわからなかったが、すぐにそれは理解した。
自分たちより、先に出た先輩や後輩が、なぜかわらわらとひとところに集まってきゃぁきゃぁと騒いでいた。

―――まさか

よく見ると、人だかりの真ん中で、つぶれそうになっている奈緒の姿を見つけた。

「どこまで邪魔されんねんな、俺たち・・・」

ふぅ、と息をついた。隣ではのんきそうに堺が笑って見ていた。

「・・・お前もあんまし笑い事とちゃうんとちゃうか?」

あれ。と、指差した先には、高瀬と明日香が並んで立っていた。

「あ、明日香!?」


2人とも、自分の彼女をどうやって、連れ出そうかと思っていたところだったが。


奈緒は、高松様の鶴の一声で、打ち上げに参加。

明日香も、奈緒一人だけってわけには、と、一緒に打ち上げに参加、と高瀬様の一声で決定された。


「なぁ。俺らって無力だな・・・」

「あぁ・・・せめて、彼女と一緒にすごす時間を守れるくらいに、売れなあかん」


遠くに見える、自分たちの彼女を見つめながら、
大きなため息が出た。
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