だからキスして。
それで、せっかく覚えた催眠術を使うことを思いついた。

きちんとしたカウンセラーにはまだまだなれないけど、こんな事でも誰かを救えるんじゃないか…って。




──それは建て前かもしれないけどね。

そんな理想の裏には、先生の事が忘れられないでいるあたしが存在する。

忘れたいから…疑似的にでも恋愛したいのかもしれない…

『本当は、自分を救う為じゃないの?』

って何度も思った。

でもお客さん達の純粋なココロに触れると、あたしはホッとしていた。

今だけかもしれないけど。自己満足なだけかもしれないけど

あたしは誰かを救えてる…救える手があるんだ。






久しぶりに先生の話しを聞いて、あたしのココロの中に少しだけ先生が遊びにきたみたい。

もう帰っていいよ。

もうあたしは平気だから。

先生の写真も写メの一つもないけど、幸哉先生はいつまでもあたしの中に残ってる。

ココロの中では
いつでも会えるから


'またね'






いつまでも思い出を取っておいてもしょうがない。

あたしは先生の番号を消そうと、携帯を取り出した時

ちょうど着信があった。

知らない番号。
きっと仕事の依頼だわ。


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