だからキスして。
電話に出ると予想通り、仕事の依頼だった。

お客さんの都合に出来るだけ合わせて、予約を入れた。

「さて、と!今日も一人予約が入ってるんだったわ」

シャワーを浴びて身支度を整え、あたしのオフィスへ向かう。

途中で手帳を開いて、どういうお客なのかチェックしておく。

28歳。『黒谷』と名乗る男性。

あんまりお客さんの想像はしない。
あたしも真っ白な状態で、お客さんのココロを受け止めたいから。


オフィスに着いて、30分ほど経ってからドアをノックする音が聞こえてきた。

約束の時間10分前。

時間は守る人なのね?そう思いながらドアを開けた。

「黒谷さん?お待ちしてま─────」






ドアの外に立っていた男性の顔を見て、あたしは固まってしまった。

「…あ…」

「…やっぱり立花か…」

───嘘っ

   はぁ?!

いや…マジで…?

ホントに?ホントに…って言うか

なんでココにいるの?



「─ゆ…幸哉先生…」



「立花の事、捜したんだからな」

あの頃と変わらぬ姿で、あたしに話しかける先生。

先生────…


どうしよう
会いたかった

あたし
会いたかったみたい

嬉しい…
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