魔法の戦士《bellator》
「ったく、まだ眠いってのに…」

通学路を歩く姫と幸大。

「早起きは大切ですの。」

「だったら姫だけ先に学園に行けば良かっただろ?」

「わ、私は、幸大と一緒に行きたかったんですの…

それなのに、それなのに、幸大は酷いですの…」

姫が目に涙を溜める。

「わ、わかったから!!

俺が悪かったから、

泣くなって。」

「…本当に悪いと思ってますの?」

「ああ。

悪かったよ…」

「なら、手を繋いでくださいまし…

それで許しますの…」

「え?

やだよ…恥ずかしいし…」

「う〜」

また泣きそうになる。

「わかったから!!」

バッ、

幸大が多少強引に手を握った。

「ふふふっ。

今日は良いことがありそうですの。」

「そりゃ良かったな…

まったく。」


「あれは、奈々さんですの。」

姫の声に気づき奈々が振り返った。


「あ〜!

ダーリ…」

途中で言葉が無くなり、奈々が強い足運びで近づき、そして…


ガッ、

奈々が幸大の胸ぐらを掴む。

「し、塩見…?」

「ねぇ、ダーリン?」

恐怖しか感じられない笑顔の奈々。

「何でしょうか…」

「その左手は何なんですか?」

左手は姫の手を握っている。
< 33 / 131 >

この作品をシェア

pagetop