HOPE
 そこには、ここ最近の定期テストの結果が載っていた。

国語 18点 
英語 19点
数学 8点
地理歴史 23点
理科 4点
公民 9点

「このままじゃ、付属の大学どころか多大にも行けないわよ。就職するにも、この内申じゃ雇ってくれる所があるかも分からないし」
 三年生の二学期の、この時期に僕を呼び出したという事は、琴峰はおそらく真剣に進路について、僕と話し合うつもりだ。
 長くなりそうだな。
 そう思い、僕は短く溜息を吐いて言った。
「話はそれだけですか?」
「は?」
 信じられない、とでも言いたげな顔をして、琴峰は呆れた様な顔をする。
「ちょっと、分かってるの? あなたの将来の事、つまりこれからの事を話してるのよ! もう三年の二学期なんだから、そういうのも決めておかなくちゃいけないの! ちょっと、聞いてるの!?」
 そんな話には興味がなかった。
 ただ、その日を生き抜く事が出来れば、それで良い。
 そう思っていたから。
 僕は琴峰を横切って、準備室から出た。
「ちょっと!」
 呼び止める声が後ろから聞こえたが、完全に無視を決め込んだ。
 

 秋の乾いた風が、昇降口に吹き抜けていた。
上履きから靴に履き替ていると、後ろから声を掛けられた。
「よ! 気偶だな!」
 彼女は僕に対してそんな事を言う。
「天道……美羽?」
「そう、天道美雨だ」


 どうして、こうなった?
 どうして、僕は天道と帰り道を共にしているのだろう。
 僕に対してペラペラと話をする天道。
 その話に、適当に相槌を打って対応する僕。
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