HOPE
 お節介?
 迷惑?
 きっとそうだ。
 平野は私をその様な存在としてしか見ない筈だ。
 それでも、出来る限り遠くから見守っていよう。
 平野が笑えるその日まで。


 ただ、純粋に側で守ってあげたかった。
 理屈はないけれど、平野を見た時にそう思った。


 平野を初めて見た日から、私は校舎裏で彼の泣く姿をただ見ていた。
 しかし、それから数日後、転機が訪れる。
 彼の一人の少女との出会いだ。
 彼女こそが宮久保さんだった。
 その日から、平野は少しずつ笑う様になった。
 もう、終わりにしよう。
 私が彼らの世界に入り込む事なんて、もう絶対に出来ないのだから。
 別に悲しくなんてない。
 逆に嬉しかったのだ。
 彼の笑っている顔を見る事が出来て……。

   ♪

「ごめん」
 なんだか、天道に対して申し訳なくなってきた。
「どうして謝るんだ?」
「気付いてあげられなかった。あの時、僕は自分の不幸ばかりを呪って、周りを見ていなかったんだ」
「それでも、お前には宮久保さんがいたじゃないか。宮久保さんをしっかりと見てあげていた」
「でも、沙耶子は眠ったままだ。それに最近、もしかしたら沙耶子はずっとあのままなんじゃないかって……そう思うようになったんだ」
 話していく内に、顔が火照り、自分の声が段々と震えていくのが分かる。
「嫌なんだよ。もう、自分で自分が信じられない……」


 数秒間の沈黙が続き、天道は僕を真っ直ぐに見つめた。
「なら、私は信じてる」
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