* 王子と契約彼女 *
「「‥‥‥‥」」
静かなカラオケボックスに二人きり、そして"優くん"は口を開いた。
「俺本当は彼女いないんだよ」
「(‥‥‥‥‥‥。‥‥‥‥‥‥。‥‥‥‥‥‥‥は?!)」
唖然とする私。
「彼女の事知ってるってことは、花園のこと知ってるよね?‥花園は確かに幼なじみだけど、別に付き合ってない」
そのまま唖然としている私。
"優くん"は話しつづける。
「なんか一緒にいたら、付き合ってるって噂になっててさ。俺、俺に告白してくれる女の子に断るの、気が引けてて‥」
確かに、"優くん"はたっっっくさんの女の子から告白されている。
「悪いとは思ったけど、彼女がいれば告白されないから、噂のまま花園には彼女のフリしてもらってたんだ」
まさかの重大な事情を私は知ってしまった気がした。‥というか、知ってしまったのだ。
「でもさあ‥この前花園に怒られたんだよ‥。」
いきなり悲しそうな顔を見せた"優くん"。
「どうして、ですか?」
「花園に好きな人が出来たんだけど、俺と付き合ってる事になってると上手くいかないだろ?だから、もう無理って」
「まぢですか‥」
「さすがにもう頼めないから、別れたで済まそうとしたら、花園、付き合ってないのに別れたとか好きな人に思われたくないって‥」
「んまあ‥確かに‥」
すごい事情だけど、花園さんの気持ちに共感する私。
だって、好きな人に付き合ってもないのに付き合ってたって思われるのは、なんか、悲しいから。
「だから、‥」
そして、彼は思いも寄らないとても重大な言葉を言った。
「お願い、俺と付き合って!」
「(はいぃぃぃ????!!!!)」