紫陽花の中の猫



マグカップから湯気がふわっと立つ中、俺は彼女に話し掛けた。



「で、何があった?」




彼女は持っていたマグカップをテーブルに置くと静かに口を開いた。




「…彼とは別れました…」



彼女はどことなく寂しげに苦笑いした後ため息をついた。




「…そっか,,,」



俺から出た言葉はそれだけだった…。




気の利いた言葉や慰めるの言葉なんか気休めにしかないのを俺が1番解ってる…ような気がした。




実際、俺も数ヶ月に本気で好きだった子に振られた経験者…(苦笑)




「で、行く所あんの?」



「…いえ、まだ決まってなくて…」



そうりゃ、そうだろうと納得。




数ヶ月前の彼女はあんなに楽しそうに笑っていたのに今は、寂しげに俺の前にいる。



何か本当、人生って予想外な事ばかりおこるもんなんだなぁ…と感じずにはいられなかった。
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