紫陽花の中の猫
★Prologue・2
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『あのーもしかしてK1の聖夜選手ですか?!』
たまたま、入ったファミレスで俺は店員に話し掛けられた。
『…そうですが…?』
俺はその時、女の人と一緒にいた為、かなり愛想悪く接したと思う。
『…私、彼氏と聖夜選手の試合観に行った事あるんです!!それまで格闘技苦手だったんですが、まじかで観た試合に魅了されてそれ以来、聖夜選手のファンになりました!よかったらサイン下さい!』
彼女は持っていたメモ帳にサインしてくれと俺に言ってきた。
俺は黙ってそれにサインと彼女の名前を入れた気がする。
その店員のハシャギぷりに少し引きながら…。
そう、彼女の名前は……
「「美月」」
彼女の名前をとっさに思い出しように発した。