紫陽花の中の猫
その過酷な世界で俺はあっという間に頂点に上り積め地位も名誉も手に入れた。
派手なパフォーマンスや挑発で強気な発言で俺は世間からはK1のカリスマとさえ呼ばれていた。
だが、二ヶ月前、俺はそれをあっさり失った…。
恐れていた現実が俺に突き付けてきたのだ。
負けた事で俺は冷静に自分に何がたらなかったのか…を見つめ直すきっかけにもなった。
ただ、見つめ直すだけではなく、その悔しさをバネに更に強くなって見せると言う闘争心も掻き立せ更なるトレーニングを強化していく事を決めた。
たが、そう言う俺の思いとは裏腹にマスコミは持ち上げるだけ持ち上げ負けた途端に手の平を返したように俺を落とすのも早い。
今まで俺を見てキャーキャー言っていたファンがアンチに変わり俺を中傷するものさえいる。
勝負の世界にいる者にとって負けとは奈落の下に突き落とされるのと一緒だ…。
まさに孤独との戦い…。
人目を避けるように俺はこの二ヶ月間…ジムと家を往復するだけの生活が続いていた。
また、あの華やかなスポットライトに戻る為に…。
ただ、ひたすらボクシングに打ち込んでいた。